*本の修理*

司書さん直伝の「本の修理講座」の備忘録です。
写真がないものも順次UPしていく予定です。

◆ 本の修理の前に


修理を待っている本たち。

本からいろいろ聞いてください。

 …ページが揃ってる?
 …どこに、どのくらい修理が必要?
  買い換えたほうがいい?

全部見て、付箋をつけることから始めましょう。


修理は手間資材がかかることが多くて、ボロボロになった本は修理に値するか、
人気がある本だからこそ再購入できないか検討の余地もあり。


そして、高価だけどブックコーティングフィルム(通称、ブッカー)は優れもの。
新しいうちに貼っておくと、破れにくく、手垢の汚れも水拭きやメラミンスポンジでゴシゴシすることもできます。
もちろんUVもカットしてくれるので、日焼けによる変色もましになります。


図書室では、傷んだ本を入れておく箱を用意しておくといいです。

「本の救急車」

子どもたちは自主的に入れてくれます。

傷んだところを見つけた時に分けておくことが、早く手当ができます。


さぁ修理。傷みの種類ごとに紹介します。


◆ページがとれたとき

ページが1ページまたは数ページごっそり抜けることがあります。
その時は…本の修理用ボンド(木工用ボンドでもOK)を竹串・ウッドマドラー・軟膏ベラ(面が広いとき)等で、抜けたページの内側に薄くぬって、

ページを戻し、

余ったボンドでページが引っ付いてしまわないよう、
ブッカーやシールの台紙(ツルツルの紙)のツルツル面を外側にして折って挟み、

背をめだまクリップで挟む or 太い輪ゴムで止めます。1週間程度乾かす。
・・・ゴムバンドは写真のものより太い方がいいです。

でも、今借りたい!って、子どもたちが待っている時、ボンドをつけるとすぐに渡せません。そんなときはページヘルパー(次の、ページ破れの項を参照してください)で、内側を縦にズバッと張り付けることもいい方法です。


図鑑とか紙の厚いものは、ブックフィルムコートを細く切って、貼る方がしっかりします。
厚みがあるのでたくさん貼ると本が変形しちゃいます。

◆ページの破れ


敗れたところをセロハンテープで…ぜったいダメ。

子どもたちへの説明もしてあげてください。
セロハンテープは劣化が早く、茶色くパリパリになります。そして最悪なのが、糊が紙のほうに残ることーー;)
セロハンテープが貼られているのを見つけたら即刻とりましょう。


色で分類したいから、、、と手軽にいろいろな色が手に入る ビニールテープ を使いたいところですが、

ビニールテープもNGです。

すぐに、べちゃべちゃねちゃねちゃになる上に、はがれてきちゃいます。


セロハンテープの外し方

  1. アイロンであたためながらやさしく、やさしく取っていく。
  2. 市販の本用「シールはがし」を使う。
    本用を使った方が揮発性が高く、すぐに次の作業もできるし、紙を痛めにくいです。
    これを使うときは本の端とかでシミになったりしないか確認してください。
    司書さんのおすすめはブッカー編に。
    少しずつ小さめの刷毛で本とテープの間に浸み込ませるように塗りながら、テープをはがしてください。


先にセロハンテープを説明しちゃいましたが、
敗れたページに貼るのは「ページヘルパー」(商品名かな??)。
本専用の補修テープです。
メンディングテープに似たものです。


写真は破れた面を合わす前。白いところが見えてます。
めくれ上がった紙をやさしく、爪でコシコシするとだんだん伸びてきます。
伸ばしてから、破れ面を合わせてページヘルパーを貼ってください。

👇ページが外れちゃったときに、本の中心に貼りやすいページヘルパー。「らくとじ」
 ページの別のところに引っ付いちゃった💦のような事故が少なくなります。


◆角のめくれ

ブッカーをつけていない本は角がめくれちゃったり、破れちゃったりしやすいものです。
そのときは、図のようにブッカーを切ります。ブッカー掛けのときの余りも使えます。
ちょっとしたことだけど、めくれたところは指で戻してから貼るときれいです。貼る順序も司書さんのコツです。


◆背のめくれ

背表紙の上に指をひっかけて取り出す...
ついついやってしまうことですが、多くの利用者がこれをすると背表紙の上がめくれて破れることになります。
子どもたちにオリエンテーションなどで本の扱いを教えてあげるのは大事です。


取れてしまわないで紙が残っている場合、

木工用ボンドで貼り、乾いてから、破れた場所をブックフィルムコートでカバーします。


紙が破れてなくなってしまった場合、

厚紙を背表紙のなくなった部分より少し大きく切って、

補修用の布を木工用ボンドで貼り、切った厚紙を表紙の内側に少し挟むように入れ込んで貼ります。その上に厚紙をもう一枚、今度はなくなった部分に合わせて切って、木工用ボンドで貼る。乾いてから、ブッカーを少し大きめに切って貼ります。


◆背表紙が日焼けして見えなくなったとき
ブッカーを貼っていても、特に赤い字は紫外線に弱いので、本のタイトルがわからなくなることもしばしば。

可能であれば、
図書室のカーテンを遮光性の高いものに変え、利用しないときはカーテンを閉めるようにしましょう。


見えなくなった背表紙は、
ラベルプリンター(テ●ラとかネーム●ンドとか)で作って貼る。さらにブックフィルムコートを背表紙+両側3㎝ぐらいの幅で貼る。


◆ページがごっそり抜ける本は...

あの人気シリーズ(サバイバ●とか、かいけつ●ロリ)...安価にするために作りが脆弱です。

そんなとき、購入時にあるひと手間。穴を空けて、麻紐で結わえておきます。


本に穴を空ける!?ってびっくりしますが、これで各段に随分丈夫になります。
ぜひお試しください。

道具はこちら。電動インパクトドライバーと 2mmのドリル先、麻紐(図書用資材で売っています)、針。

1.本のジャケットを外して、ドリルで3つ穴を空ける。

  ★垂直に
  ★新しい本の時は、本の綴じの真上のちょっと内側を。背表紙に近いほど、目立たず、紙も破れにくい。

2.麻糸を通す
  ★写真のように8の字になるように

3.麻紐を結ぶ
 ★ピンとはる
 ★もう1方の麻紐にくぐらせてから団子結び
 ★もう一度団子結び(このとき2回かけるとほどけにくい

4.ジャケットを戻して、ブックフィルムコートを貼る

ブックフィルムコートを貼ったあとからもこの「糸綴じ」できます。

表紙&裏表紙を開いて、本体側ギリギリに穴を空けて綴じます。
このときは、麻紐全体が被るようにブックフィルムコートを貼っておきましょう。
...子どもは出ているものは引っ張りたくなるもの…

この場合は、麻紐を

少し緩め

にしておくことがポイント。本を開くときに紙に負荷がかかって破れることがあります。


ブッカーかける前に糸綴じしても、糸が切れてしまうことがあります。
そのときは、開いて、こんな風に再び綴じてあげてください。